インタビュー

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「生涯続けていたい」 リレー銀メダリストが42歳でも走り続ける理由(2/2)
陸上 末續慎吾選手
「生涯やっていたい。それがスポーツの根本的な在り方なのかな」

子どもの頃から走ることと共に生きてきた。自分の人生から走ることがなくなるなんて「想像していないというか、生涯やっていたい。それがスポーツの根本的な在り方なのかなと思います」と言葉を続ける。
「勝敗にこだわる時期があってもいいと思いますが、それで(心身が)疲弊したり消耗したりする価値観はそもそも間違っている。年齢や時代背景に照らし合わせながらスポーツをどう表現していくのか考えた時、勝利を至上とする価値観は狭いなと思います。スポーツは人の文化や成長に寄り添っているもの。勝った負けたの結果ではなく、その経験から何を学ぶか。勝利至上と断定的になってしまうと、果たしてスポーツってそれだけのものなのかなと思ってしまいます」
スポーツが持つ価値を考えた時、末續選手は「日本は世界に比べてドーピングが少ない。その根底にある精神的な美学は高いので、日本から世界へ発信するスポーツシーンが築けるんじゃないかと思います」と可能性を感じている。同時に、日本のスポーツを取り巻く環境がより向上するためのポイントも指摘する。
「日本におけるスポーツが持つ価値は、少し範囲が狭いのかなと思います。テレビで見るだけがスポーツではないし、もちろんやるだけがスポーツでもない。スポーツはあらゆる局面で人間とともにあり、手段として使用できるものだと思います。例えば、教育や指導、更正という場面でも使えるし、より生活のエッセンシャル的な部分でも使える。もっと日常の一コマにスポーツが溶け込んでいけるといいですし、潔さだったり精神性だったり、スポーツマンシップの基本となるものに光を当てることは必要でしょう。
ただ、日本の場合、スポーツはその入口でコンプレックスを感じさせてしまうこともありますよね。例えば、小学校で足が速いと人気者になれるとか、逆に遅いと格好悪いと思ってしまうとか。そういう今までの捉え方や価値観が、スポーツを敷居が高いものにしている。もっと誰もが触れていいもの、関わっていいもの、といったスポーツの本質が伝わればいいなと思います」
日本陸上界の歴史を変えた男は、「走ることが好き」というシンプルな想いを体現しながら、スポーツの本質を伝え続けていく。
(当記事は2022年8月に新型コロナウイルス感染症対策を行った上で取材・撮影を行いました。)
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末續 慎吾すえつぐ しんご
1980年6月2日、熊本県生まれ。小学生の頃から運動が得意で、全国小学生陸上競技交流会に出場。中学でも好成績を残し、高等学校では国民体育大会の100メートル走で2度優勝を飾った。大学2年生だった2000年にシドニーオリンピックに出場。2003年の第9回世界陸上競技選手権大会は200メートルで3位となり、日本短距離界史上初のメダルを獲得。シドニーに続き、2004年のアテネ、2008年の北京と3大会連続でオリンピック出場を果たし、北京では4×100メートルリレーで第2走者として銀メダル獲得に貢献した。2015年からプロに転校し、現在も現役選手として走り続け、10月に行われた北九州陸上カーニバル2022では100メートルで10秒77を記録。自身が持つ40歳以上の日本記録を更新した。選手を続けながら「EAGLERUN(イーグルラン)」を主宰し、後進の指導やスポーツの普及にも努めている。日々の活動の様子は自身のSNSで発信中。
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