インタビュー

インタビュー
仲間の理解から始まるチームの輪 違いを越えて生かす自分らしさ(2/2)
車いすラグビー 倉橋香衣選手
世界選手権に過去最多13人の女性選手が参加

仲間に興味を持ち、理解を深めようという姿勢は、車いすラグビーに限らず、日常生活でも過ごしやすい環境作りに欠かせない。事故後、大学に復学した倉橋選手が「手伝って」と上手く言い出せなかった時、そばにいた友人は「一緒に過ごしたりお互いに気に掛けたりしていると、何を手伝ったらいいか分かる」とサポートしてくれたといい、「日常でも大切だと教えられたことです」と振り返る。
現在の日本代表チームは選手同士のコミュニケーションが円滑で「経験値に関わらず、誰もが自分の意見を出し合いながらプレーできる」風通しの良さがあるという。倉橋選手も「女性だからと意識することは全くなくて、みんなと同じ仲間としてやっています」と居心地の良さを感じている。ふと周りを見回した時、改めて「あ、男性ばかり」と思うこともあるが、普段はあくまで自然体だ。
2022年にデンマークが舞台となった世界選手権では、心躍る出来事があったという。全12チームが参加する中、女性選手は13人を数え、過去最多を記録した。オーストラリア代表には最多となる3人が参加。「女性の仲間が多くいるだけでなんだか嬉しくなってしまい、13人全員で集まって写真を撮ってしまいました」と話す顔には大きな笑みが広がる。
現在、日本で活動する女性選手は倉橋選手を含めて4人。国内大会や合同練習で久しぶりに顔を合わせると、女性ならではの質問や話題に花が咲く。その度に膨らむのが「女性選手を増やしたい」という想いだ。そこで倉橋選手は近い将来、女性のみの世界大会「ウーマンズカップ」に出場したいと考えている。
「女性なら誰でも参加できるので、国内の女性選手で参加する方法を考えようと話し合っています。男女混合が競技の魅力でもあるけれど『男性の中に入りづらい』と思う女性もいるかもしれません。だから、ウーマンズカップのような大会を知ってもらえれば、興味ある女性が体験会に参加しやすくなるかなと。女性選手が身近に増えれば、女性ならではの疑問も解決しやすくなる。何よりも、自分が楽しいと思う車いすラグビーを一緒に楽しめる仲間が増えればいいなと思います」
障がいの程度はそれぞれ。性別に関係なく誰もが参加できる。そんな自分が自分らしくあれる競技の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらうために、倉橋選手の挑戦は続く。
(リモートでの取材を実施)
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倉橋 香衣くらはし かえ
1990年9月15日、兵庫県生まれ。AXE所属。中学、高校と体操競技に打ち込み、教師の道を志して大学へ進学。トランポリン部に所属し、活動していたが、3年生の時に大会前の公式練習で技を失敗。頸髄を損傷して鎖骨から下の感覚が麻痺し、車いすユーザーとなった。大学復学を目指してリハビリ生活を送る中で出会った車いすラグビーに魅了され、2015年からクラブチームで本格的に競技を始めた。2016年に大学を卒業し、株式会社商船三井に入社。2017年には日本代表に選ばれ、唯一の女子選手として活躍。2021年の東京パラリンピックでは銅メダル獲得に大きく貢献した。
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